彼とは婚活パーティーで知り合いました。
まさか、結婚までするとはその時は思いませんでしたが、
付き合ってみると ビックリするほど気が合って。
だんだんと 「この人と一緒にいられたらいいな?」
と思うようになっていました。
そんな時に、彼は
「ご両親にご挨拶に行きたい。」
と言ってくれました。
高校を卒業して以来、年に1回お正月に帰るだけだった親不幸な私。
でも決して両親が嫌いなわけではなく、
実家へ帰ると都会で頑張れなくなるような 気がして
自然と足が遠のいていたのです。
私は実家へ電話し、
「会わせたい人がいる」
と父に伝えると、
父は言葉少なく
「分かった。」
と言うだけでした。
二人で実家へ向かい、家に着くと、
彼は、
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
○○さんと真剣な気持ちでお付き合いさせていただいています。
結婚するならぜひ○○さんとと思っております!」
と大きな声で、顔を真っ赤にして挨拶したのです。
私も驚きました。
彼から「結婚」という言葉が出るとはまだ思っていなかったので。
父は、腕組みをしたまま無言。
母に「お父さん」と声をかけられてやっと重い口を開いたと思ったら
「娘を泣かせたら、ただじゃおかない。」
とぼそっと言ったのです。
無愛想で、いつも何を考えているのかイマイチ分からなかった父。
だけど、その言葉を聞いた瞬間、
何だか実家へ帰るのを我慢していた私の心が ふわ?っと解けた感じがして
涙が止まりませんでした。
【結婚準備】 マリッジブルーも吹き飛ばした彼
無事、彼との結婚が決まり、結婚式への準備が始まりました。
ざっと挙げてみてもやる事はいっぱい。
式場探しから始まって、ドレス選び、列席者一覧、引き出物選び、
ペーパーアイテムの 作成からお礼状の準備など、
考えただけでもぞっとする。
しかも、その合間に新居探しや家具選び、新婚旅行の手配などもあったりして
お互いに仕事が忙しいし、もうやる前からギブアップ寸前・・。
だけど、もうやるしかないもの。
何とか奮起して、休日返上で準備を始めたのです。
式場も何か所も回って、試食して、ドレスショップも回って。
平日はお互い終電間際まで働き、休日は準備。
疲労がたまる。
ドラマみたいに、彼も一緒にドレスショップに行って、
「そのドレスが似合うよ。」
「そう?うふっ^^」
って、楽しそうに結婚準備するのが普通だと思っていました。
が、実際はそうは行かず。
「二人の結婚式なのに何で一人で準備してるの・・・?」
手伝ってくれない彼にイライラして当たるようになっていました。
ついに私は、彼に
「もう結婚は無理かも・・。」と。
彼は、ずっと黙って考えていました。
翌朝、彼が会社へ行く前に家に寄ってくれて、
「一人でやらせてごめん。」
「これからは、二人で頑張ろう。」
そう優しく言ってくれたのです。
何だか凄く嬉しかったのを覚えています。
多分、自分では全然気がつかなかったけれど、
この時の私はマリッジブルー だったんじゃないかなと思います。
実際に、それまでも私一人で準備していたわけではなく、
彼もちゃんと 手伝ってくれていたのです。
私一人で勝手に不安になって、イライラして、怒っていたのだと思います。
「俺だってやってるだろう?」と喧嘩になってもいいはずなのに
彼は私を理解して、謝って、私を落ち着かせてくれたのです。
【結婚式】 父と歩くバージンロード
彼のおかげで、マリッジブルーだった私の気分も落ち着き
その後、結婚準備も進んで
無事結婚式当日を迎えることができました。
バージンロードを父と歩くのが何だか照れくさい。
昨日も結局仕事で実家には帰れず
まだ両親に挨拶もしていなかったのです。
最後まで親不幸な私です。
選んだ式場のチャペルは、新婦入場の時まで
父と二人きりで小部屋で待つ ようになっていました。
父は何もしゃべらず、
私も何も言えずにいました。
そうこうしているうちに係の人に呼ばれてしまい、
父と二人扉の前で 入場を待ちました。
「今言わなきゃ。」
心の中で焦ると余計に胸がいっぱいになって何も言えなくなってしまいます。
すると、父がまたぼそっと一言。
「体には気をつけろ。」
私はとたんに涙があふれ、
「お父さん、今までありがとう。」と小さな声で伝えました。
あんなに色々考えていたのに、それしか言えませんでした。
そんな私は、綺麗にお化粧してもらったにも関わらず、
扉が開いた時はもう涙で顔はグチャグチャ。
あとで彼に聞いたら、父も涙は堪えていたものの、くしゃくしゃの顔だったとか。
二人して、もうくしゃくしゃのグチャグチャで
列席してくれた人も 大爆笑するやら釣られて泣くやらで
何とも賑やかな挙式となってしまいました。
【新婚旅行】 天国のような島へ
頑張って準備した甲斐あって結婚式もトラブルなく終わり、
楽しみにしていた新婚旅行 にやってきました。
仕事も忙しくなかなか大型連休がとれなかったので
凄い解放感です!!
行き先は、写真集で魅せられた南の島「モルディブ」。
数十年後には海面が上がり消えてしまう島という事もあって、新婚旅行に選びました。
ジャンボジェット機から小型飛行機まで乗り継ぎながら、やっと島に到着。
青い空と青い海、白い砂浜、カラフルな魚たち。
もう写真そのもので、本当に天国のようなところでした。
泊る部屋は水上コテージで、内装はバリ風インテリアでいかにもリゾートという感じ。
ベッドの上にはビビッドな色の花びらが散りばめられていて、
サイドテーブルには、
シャンパンとケーキが置いてありました。
ハネムーンの人向けのサービスなんでしょうけど、漫画みたいです(笑)
また、部屋の床の一部が窓のようになっていて、
毎朝そこから魚にえさを上げている彼が 可愛らしかったのが印象的でした。
デッキで寝そべっていると
イルカの親子が泳いでいるのが見えたり
まるで絵のような夕日を眺められたりと
本当に夢のような数日でした。
そんな素敵な南の島で心も体も癒され
穏やかな気持ちになって帰国すると、
待っていたのは淀んだ空(笑)
「私たちは、ここに住んでいるのか・・」
と一気に現実に引き戻されてしまいました。
でも、一生に一度行けるか行けないかのモルディブに行けたのですから
大満足です。
次は、彼と仲良く歳を重ねて
還暦のお祝いにでも二人で旅行できたらいいなと思います。
【新生活】 特別な何かがなくても
夢のような南の島での生活も終わり、また日本での生活が始まりました。
相変わらずお互いに仕事は忙しく
朝はササッとパンを食べ
9時?22時頃まで仕事
帰宅後、一緒に少しお酒を飲んで寝るといった日々です。
休日出勤もありますし、休みが取れても疲れて半日寝てしまう・・
何とも新婚ラブラブ生活とは程遠い毎日です。
ですが、やっぱり違うんですよね。
楽しい時も辛い時も、
いつも彼と一緒に経験していくんだと思うと
「私は一人じゃないんだな。」
と安心できるのです。
特別な何かがなくても、毎日が充実している気がします。
冤罪かなにかで私が逮捕されて、マスコミに叩かれて、友達が離れていっても
彼だけはきっと無実だと信じて、活動してくれるだろうと。
変な安心感ですけどね(笑)
でも、一人でも自分を信じてくれる人がいるというのが、
これ程心強いものだとは思っていませんでした。
これから喧嘩もするでしょうし、
子供が生れたら彼との関係も生活も 変っていくかもしれません。
そういう不安が全くないと言ったら嘘になりますが、
彼が、私の父のように無口でも温かく家族を見守っているくれる人に
なってくれるんじゃないかという期待の方が大きい気がします。
もし、私があの時婚活パーティーに参加していたなかったら、
私はどんな人と出会って結婚していたのか、想像もできません。
せっかく出会えた彼ですから、彼とのこれからの生活を大切にして
いきたいと思います。
今まで支えてきてくれた周りの人に感謝をこめて。