彼から別れを告げられてから、自分でも驚くほどの落ち込みようでした。
何とか仕事はしていましたが、食事もろくに喉を通らず、
周りが心配するほどでした。
今までもそれなりに恋愛はしてきましたから、失恋経験もあります。
その時は辛いと思いましたが「運が悪かった」
「自分にはもっといい人がいるに違いない」と自分に言い聞かせ、
立ち直ってきました。
ですが、今回ばかりは違います。
真剣に将来を考えていた相手です。
結婚式や新婚旅行、2人での生活や将来設計まで想像していた人です。
それが、こんな風に振られるなんて。。。
自分の何がいけなかったのでしょうか。
緊張感にかけた付き合いに刺激を求め、彼は浮気したのでしょうか。
彼が結婚相手に選んだのは、10歳も年下の25歳。
結局は、若い子が良かったの?
どんどん卑屈になっていく自分がいました。
男なんて、もう信じられない、
こんな思いをするなら一生一人でいいとさえ思いました。
そんな時、私を心配したある先輩が飲みに誘ってくれました。
その先輩は、36歳独身。
美人とまではいかなくても、清潔感があって優しくて
仕事の出来る人でつい頼ってしまいたくなるような人です。
「どうしてずっと独身なんだろう?」と疑問に思うような素敵な人でしたから、
「不倫でもしてるんじゃないか?」なんて言う人までいました。
そんな先輩から誘っていただいたので、
それまで外出する気もおきなかった私ですが、
やはり先輩に、今の自分の気持ちを聞いてほしいと思い、
飲みに行くことにしたのです。
ですが実際には、先輩を目の前にすると何も話せない自分がいました。
愚痴るようで嫌だったし、何より結婚目前に若い子に
彼氏を取られたことが恥ずかしかったのです。
すると先輩は、察したかのように自身のこれまでの恋愛について
話をしてくれました。
先輩は、24歳から34歳までの10年間お付き合いをしていた彼がいたそうです。
(10、10年・・凄い・・)
相手の方は夢を持っている人で、ある程度それが形になるまで結婚はできない
と言われていたそうです。でも、頑張るから待っていてくれ、応援してくれと。
先輩は彼の言葉を信じ続け、10年の間待っていました。
ですが、突然「結婚するから別れてくれ」と別れを告げられたそうです。
相手の女性は、彼の夢に対する思いも知らないような
出会ったばかりの人だそうです。
それを知った瞬間に、自分は都合のよい女だったと
改めて実感したと言っていました。
10年かけて思い続けた人は、ろくでもない男だったと。
その時「もう男性なんて信じられない」
「一人で生きていこう」と思ったそうです。
まったく今の私の気持ちと同じです。
年月が長い分、私以上に辛かったと思います。
なのに、そんな辛いそぶりを一切出さず毎日笑顔で出勤していた先輩は
本当に凄い人だと改めて思いました。
と同時に、一体どうやって立ち直れたのだろうと不思議に思いました。
すると先輩が、続けて言ったのです。
「もう男はいいって思っていたのだけれどね、今度結婚するのよ、私。」と。
「け、結婚???」
もう驚きのあまり、口に含んだお酒を吹き出してしまいました。