
ひとつ、婚活をはじめてみてわかったことがあります。再婚したいなぁ、老後にひとりは嫌だなぁなんて思っていたわけですが、実際に動いてみると自分の気持ちが非常に明確になってくるんです。なんとなく、こういう生活に追われる暮らしは嫌だとか、子どもたちが巣立ったらどうしようかなっていう、不満や不安は漠然としたものだったんです。でも具体的に自分の中の「これが不安なんだ、ここが淋しいんだ」ってわかるようになってくるんです。
特に娘にきちんと理解してもらおうと思って話してみることによって、よりリアルに自分の気持ちに整理がついたというところはありますね。うちの場合は娘がわりとしっかりしていたことや、ある程度の年齢になってましたから、こうした母親の話を聞いてくれたというところはあると思います。でも娘でなくても、身近な人で相談できる人がいたら、その人に自分の気持ちを伝えることで、自分の立ち位置がはっきりしてくるっていうことはあるんじゃないでしょうか。
私が「条件ありき」で相手を探しているということが娘にはたえられなかったんですね。歯医者が、歯医者が、と繰り返している自分にハッと気付いて、これはやっぱり違うかもしれないと思ったんです。
「お母さん、結局出会いがないってことじゃない。好きな人って出会って、良さそうだなって思って、それからデートしてって、そういうふうにできるんじゃないの」高校時代の同級生とずっと交際をしている娘の実感のこもった言葉にそうだよね、と素直に思えました。青春真っ盛りの娘も、アラフォーの私も、「好きな人」と思う気持ちに関しては同じレベルにあるんだなと思ったんです。
登録サイトを抹消して考え直そうかなと思ったのですが、その頃にちょうど担当者の人から「少し気分を変えて、お見合いパーティーのようなものに参加してみてはどうですか」と連絡があったんです。
初老先生のほうは、私が連絡をしないとそのまま向こうもずっと音沙汰なしという感じでしたし、お見合いパーティーといっても「ボージョレヌーヴォーを楽しむ会」とか「野外BBQパーティ」とか、ほとんどOLの合コンみたいなノリらしく、それはそれで経験としていいかも、と思いました。
それに娘も「まぁそういうパーティなら無理に婚活とか意識しないで、いい人がいたらいいなっていうぐらいで行ってみれば」とあいかわらず無愛想な返事ながら、決して反対もしなかったのです。