山ほどの婚活プロフィールを眺めながらいっこうに「アプローチ」しようとしない私に業を煮やしたのか、担当の人から連絡がありました。「一度、相談所でしっかりとアドバイスをもらってきてはどうでしょうか」とのことでした。私は、なかなか上手く発展しない婚活に疲れ始めていたので、気分転換をかねて一度お話を聞いてもらおうと軽い気持ちで結婚相談所に足を運ぶことにしました。
担当の人は50代ぐらいの女性でした。私の話をいろいろ聞いてくれましたが、開口一番こう言ったんです。「お相手に対する条件が厳しすぎませんか?」私は反論しました。バツイチで結婚に失敗しているからこそ、失敗しないように相手に対する希望が大きくなってしまうのは当然ではないか、って。
「条件だけでマッチングするなら、正直、婚活などコンピューターだけでできるのだと私は思います」その女性が言いました。「とにかく膨大な数の男女のプロフィールさえあれば、すべての条件を満たす相手も見つかるかもしれません。でも、条件があえば絶対にうまくいく、とも言えないのではないでしょうか」
確かにその通りです。「ゆずれないものはあると思います。例えばお金の使い方や健康といった問題、相手の家庭環境や住む場所などです。でも、条件的に決して満足できる人でなかったとしても、お相手と実際に会うことでそれ以上に良い部分を発見し、好きになってご縁が結ばれるといったことも多いんです。婚活では相手に対する希望や条件も大事ですが、それに執着しすぎると出会いそのものを逃します」
この女性は工務店の奥さんとは真逆の、ちょっと固いイメージの人でした。でも理論的な話し方や、落ち着いた物腰は信頼できるものがありました。「あなたは過去に結婚に失敗したことを非常に大きく見ているようですが、結婚は成功と失敗というふたつにわけられるものでもないのではないでしょうか」そう言われたとき、ハッとするものがありました。
結局、もう少しいろんな人をみて条件や希望を見直してみる。という結果に落ち着きました。そのために、「1対1で話せるお見合いのパーティーに行ってみてはどうでしょうか」とのアドバイスをもらいました。でも心の中では「パーティーではいい思い出がないし・・・」とあまり乗り気ではなかったので、ひとまず、「考えてみます。」とお返事して、その日は帰宅することにしました。