彼、仮にKさんとしておきましょうか。Kさんとの関係は、急ぐつもりはなかったです。婚活って言葉に惑わされると「早く結婚しなくちゃ、そのためにこうしてお金まで払って出会いを求めているんだから」って焦ってしまいがちなんですよね。確かに目標は「結婚」です。でも出会いイコール結婚というわけではない、その過程がとても大事だということなんです。
夕飯を一緒にしたり、映画を見に行ったりするなかで、最初のうちは私は常に「条件」を彼に重ねていました。お金の使い方とか、なんとなく彼の暮らしぶりとか聞き出しては「失敗しそうな相手かどうか」っていうリストと照らし合わせていたんですね。無駄遣いしないところはプラス5点、ちょっと髪の毛とか伸ばしっぱなしなのは不潔な印象を持つのでマイナス1点、みたいに……。
だけどそのうち、細かな条件のことはどうでもよくなってきた。彼がわりとストレートに話をする感じだったので、わたしもなるたけ同じように接していた、というのもあります。なので、「私は前の夫のお金使いの荒さに泣かされました。きちんとした生活と誠実な人とおつき合いしたいと思っています」とお話ししたんですよ。
言ってしまってから、あまりにあけすけかななんてちょっと思いましたけど(苦笑)そうしたらKさん、喫茶店のテーブルから身を乗り出す勢いで「自分も派手な生活をする女性との交際は無理だと思っています。正直、僕が勤めている銀行は地元の小さなところで給料もさほどよくありません。でも結婚したら家族が楽しく暮らせるよう、お金のことでいらない心配はさせない自信はあります」そう宣言しました。
婚活って、やっぱり結婚生活のことが頭にあるから「経済観念」というところの価値観は重要ですね。お金持ちがいいとか、貧乏は嫌だということより、お金に対する考え方が大切だと思いました。
私の条件は経済力ではなく、お金の使い方・価値観が一致するということなのだと、はじめてハッキリと認識することができたのです。正直に胸の内を明かしたからこそ、お互いに一歩近づけたような気がしました。