婚活をはじめたとき、わたしは自分のプロフィールを書きながら「自分の価値」をポイント化していました。そのたびに自分がいかにマイナスの多い女性か、ということで悩んできました。落ち込みもしました。そして相手を選ぶということでも、相手に対する条件をリストアップしながらそれに対して「プラス・マイナス」でポイントをつけていたんです。無意識のうち、なんですけどもね。
だけど、やっぱり大事なのは気持ちなのだと本当にはじめてわかりました。私が離婚したことも、過去に失敗してきたことも、そういうことの積み重ねで今があるのではないか、と思ったのです。自分の「これまで」が、プラスとかマイナスのポイントなんかに換算できるもんじゃないってことがわかったんです。過去をプラスにするか、マイナスにするかは「これから」の自分の人生しだいなんですよ!
うまくいかなかった経験と、子どもたちを育ててきた体験が、Kさんとの出会いを導いてくれたのかもしれないのです。もっと若い頃にKさんと出会っていても、Kさんの良さに気付かなかったかもしれません。あるいはKさんの母親に「うちの嫁にはできない」と猛反対されていたのかもしれません。
出会いの偶然の後ろには、「出会うべき必然」があるのだと思いました。Kさんにも過去があります。長く同棲していた女性の存在が気にならないといったら嘘にもなります。でも、工務店の奥さんが言っていたように「これから」というのがわたしと彼の共通する「未来」なんですよね。
私は子どもたちふたりを前にして言いました。「お母さんは好きな人と同じ屋根の下に暮らしたいと思って婚活してきた。お見合いパーティーとかいろいろやってみたけど、すてきな人と巡り会えた。今は婚活して出会ったとか、紹介してもらったとかいうことはどうでもよくなったの。その男性とこれからも一緒にいたいと思っているだけなの。だから、1度会ってもらいたいんだよね」
娘は肩をすくめたあと、ぼそりと「いいわよ」と言いました。でも息子のほうは唇を真一文字に結んだまま、無言で部屋を出ていきました。「しょうがないよ、私だって驚いたんだから。そのうちあいつもわかるよ」娘はそう言って私の肩をたたきました。