それから、息子がいろいろと納得するまではやはり時間がかかりました。いろいろな体験談を見ている中でも、相手の方とのご縁があってプロポーズまで行ってから、実際に結婚するまで1年以上かかるケースは少ないようです。婚活はお互い結婚をしたいという気持ちでしていますから、いざプロポーズまでいったら早いのが普通みたいですね。
でも、私はもう焦っていませんでした。大事なのは私とKさんの気持ちですが、私には子どもがいて、そういう環境のなかで周囲を納得させて結婚したいというのがふたりの希望でもあったからです。
私の息子に根気よく話をしてくれたのは工務店の奥さんです。正月にはお年玉をくれて、悪さをすれば本気でしかってくれる奥さんのことを息子はすごく慕っていました。奥さんは息子の不満や戸惑い、不安を私にかわってたくさん受け止めてくれたようです。そして一生懸命、息子には息子の人生があるのだということを教えてくれたのです。
理解を示してくれたとはいえ、どこか冷淡でもあった娘の心をときほぐしてくれたのは、他でもないKさんの母親でした。私とKさんはあきらめず、子どもたちをわたしたちのデートには連れていくようにしたり、Kさんの家にも連れていきました。そのなかで、Kさんの母親は娘が保母さんを志望していることをことのほか喜んでくれて、子どもを教える楽しみなどを話してくれました。ふたりの間に共通の話題があったためか、また長い教師生活をしているKさんの母親に対する尊敬の念もうまれたせいか、娘は本当の祖母に相対するように接するようになりました。
こう書くと、なにもかも順調で簡単だったようですが、実際はまぁいろいろあったわけです。息子が家の中でモノを投げ付けて「再婚なんか認めない」と言ったこともあります。娘がKさんに向かって直接「結婚することはしょうがないけど、あなたのことをお父さんとは思えません」と宣言したこともありました。また息子の学校の先生に「難しい年頃のときに、なにもお母さんが再婚なんかしないでも。だから家の中で暴れたりするんですよ」と言われました。
このときは、Kさんの母親が怒って怒って。「そういうときこそ、教師が子どもの気持ちを見守ってあげるべきなのに! なんでも家庭環境のせいにしようとするのは教師のとるべき行動じゃない!」息子の学校に押し掛けていきそうな勢いでしたね。